過去記事で「
バルテュスとジャコメッティ」という記事を書いたことがある。ジャコメッティの言葉で「私は千年生きたい。せめて五百年でもいい。五百年生きられたら、相当の進歩ができるだろう。」と書いたが、亡くなってから44年。相当の進歩ならず相当な最高額を更新したのが2月4日だ。
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アルベルト・ジャコメッティはディエゴ・ジャコメッティの兄になる。スイスの有名な画家クノ・アミエは名づけ親だ。
つまり両親は名士であったようだが、父親は木を彫る職人であり画家でもあった。
アルベルトは彫刻家アントワーヌ・プールデルのクラスに通っていた頃から、形而上的な苦悩を持っていたという。この94億円で落札された「歩く男シリーズ」も、こうした苦悩が膨らみ奇妙なシルエットとして生み出されたらしい。
「ぞっとする素っ気なさ」ともいわれた室内装飾家のジャン=ミシェル・フランクと契約し、抽象的な作品を兄弟でつくりだす。
現在でもジャコメッティかディエゴかと判断がつかない作品もあるらしい。
だがこの「歩く男シリーズ」はジャコメッティ。
弟のディエゴは「奇妙な人物、異常なまでに伸びた体を受け入れがたい」と告白していた様子があったらしいぞ。
参考:フランソワ・ボド 「ディエゴ・ジャコメッティ」