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RIBA Royal  Gold medal 2005ナチス体制下で抑圧や暴政を知る Otto, Frei(フライ・オットー)の理念には、「暴虐性に軽やかさで対抗する」という姿勢がある。2005年には、王立英国建築家協会 (Royal Institute of British Architects) から「RIBAゴールドメダル」が与えられた。(ちなみに、本年度は、日本の伊東豊雄氏だ。)

ケーブルネット構造や膜構造は、シャボン玉の実験などから、最適な曲面を計算。膜構造による処女作は、「Bandstand Kassel 」(カッセルの屋外音楽堂 1955年)である。

RIBA2005カタログの表紙は、「Timber gridshell, Mannheim 1975」(マンハイムの多目的ホール)である。この連邦庭園博覧会多目的ホールは、木造格子シェル構造。

67年のモントリオール万国博覧会西ドイツ館
German Pavilion, Montreal, 1967
「巨大なテント構造」による超軽量・高性能の建築物の代表例で、職人の技術による最小限の資材と波打つロープ・ネット構造の過程がみられる。1980年代においては、風景に円満に溶け込む形状や、天井から降り注ぐ自然光、また木製の梁、木造の樹状柱で構成されたヒューマニズムな産業建築として注目される。

その代表例とするパビリオンは、縫製・椅子張り工場である「WILKHAHN IN Bad Münder」だ。1988年に完成。いわゆる自然な構造体。生態学的なアプローチなどは、いま流行のパーマカルチャーの先駆なのかも。

「München Olympiapark」-© Fotograf(Phot)- Horst JöschProjekte - 「München Olympiapark」Fotograf - Horst Jösch
1972年のミュンヘン・オリンピック・スタジアムの波打つテント
「第二次大戦中にパイロットだったとき、眼下のドイツの街が次々と敵軍に破壊されるのを見て、強い衝撃を受けた。たとえ世界最強の建築を作っても、人間は一瞬で破壊してしまう。」

建築家の使命について「永続性や見た目の美しさは建築の本質ではない。人間の問題を根源から深く理解し、“発明”を重ねることで解決していくことだ」と力を込めた。by産経新聞

Frei Otto Complete Works: Lightweight Construction Natural Designつまり、オットーの社会理念である暴政は、大戦の経験から生まれたともいえる。そして自然の猛威も忘れていない。
Frei Otto Complete Works
Lightweight Construction Natural Design

 by Winfried Nerdinger
これは、ミュンヘン・オリンピック・スタジアムなどの活動をまとめているが、翻訳のタイトルが「自然な構造体」。自然の猛威、その自然から学び、変化する環境に適した建築を生み出すオットーだ。

日本語訳自然な構造体―自然と技術における形と構造、そしてその発生プロセス
 by フライ オットー, 岩村 和夫 より 引用

自然が発明家や技術者たちに簡単にアイデアを提供することなどまずあり得ないのだ。道程としてはむしろその逆である。つまり、超軽量で超高性能な建築構造体を開発することによって、自然界のそれに相当する構造体を見る目が研ぎ澄まされるのである。設計者の鍛え抜かれた目が、彼の発明したものを再び自然の中に見いだすのだ。

自然と共生「巨大テント」 産経 より 引用

「建築は今日も、地震や水害など自然の暴力に対抗している。必要性がなくても。だから建築家は、周囲の自然や人類全体の発展に対し、最大限の注意を払わなければならない」
右側の書籍、Frei Otto, Das Gesamtwerkは、Frei Otto Complete Worksと同じ著者であり、装丁も同様だが、こちらは「聖なるもの」という。フライ・オットーの展覧会では、左の「Frei Otto - Das Gesamtwerk」が、展示されていたそうだ。作品の白い帆のテキスタイルは、ジゼル・シュトンプカ(Gisela Stromeyer )だという。

その他書籍
OTTO, Frei Das Hagende Dach: Gestalt und Struktur.
Berlin, 1954. Classic 1954 study of tensile architecture.

その展覧会というのが、2005年初夏あたりから開催された「フライ・オットー 軽量構造・自然な構造体」のこと。(Frei Otto - Leicht bauen, natürlich gestalten)現代ピナコテーク・ミュンヘン工科大学建築美術館主催で、シュテファン・ブラウンフェルス(Stephan Braunfels)の設計のピナコテーク・デア・モデルネ(ピナコテーク美術館の第3館 Pinakothek der Moderne)で開催。その展覧会は、Lehrstuhl für Tragwerksplanungのサイトに掲載されている。ポスターは、「Institut für leichte Flächentragwerke」だ。1967年とある。これは、天井から自然光がはいる建築のスタイル。

そのほかでは、ハノーバー万博日本館(2000年)は、日本の坂茂氏の構造設計コンサルタントと、紙管を使ったエコロジカルな建築として評価された。

© Atelier Frei Otto Warmbronn ENTWURF FÜR BERGZELTE (MOUNTAIN TENTS) IN MUNA BEI MEKKA/SAUDI-ARABIEN 1981そして、本年度 第18回高松宮殿下記念文化賞の建築部門に、構造家 フライ・オットー氏が受賞。僕は専門家ではないので、建築構造なによりも、彼の社会的理念や自然の猛威、そして自然との融合やエコロジカルな建築への取り組みを讃えたい。サウジアラビア・メッカの巡礼者用テントは凄い!© Atelier Frei Otto Warmbronn

Frei Otto  略歴Biographie各国の作品(オットーのサイト)
大阪の万博パビリオンやピンク・フロイドの野外コンサートなんかもある。

第18回高松宮殿下記念世界文化賞受賞者 建築部門 フライ・オットー
音楽部門 スティーヴ・ライヒ
彫刻部門 クリスチャン・ボルタンスキー 
演劇・映像部門 マイヤ・プリセツカヤ
絵画部門 草間 彌生 
| フライ・オットー | 22:19 | trackbacks(1)
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