「アイルランドのマドンナ、もしくはアイルランド初の真の政治的絵画」(1977)の作品はマイケル・ファレルが描いたもの。
フランス語かアイルランド語かわからんが、ブーシェに屠殺業者の意があるそうで、北アイルランドの暴力的活動の言及としてタイトルに含んでいるという。
描かれたマドンナは聖人であり娼婦として描かれ、左上の
レオナルドの「人体比例図」も意味深なスタイルに変えられている。画像は大きくなるのでチェックして。
右上が作者マイケル・ファレルの横顔。この煙草をくわえたマイケルはほかの作品にも多用しているモチーフらしい。
モデルはブーシェのオダリスクのまま。澁澤龍彦が「20年は処女、17年は娼婦、5年は女衒」と記しているが、
ヴォルテールの言葉を引用したと思われる。彼女は
ポンパドゥール夫人同様のルイ15世の愛妾。
フランソワ・ブーシェの「ソファーに横たわる裸婦」(黄金のオダリスク、ルイーズ・オマフィーの肖像)は1752年の作品だ。
「オダリスク・ブルー」の女の顔はちょっと東洋風でない?髪も黒いし。シノワズリなオダリスクだ。
これもルイーズ・オマフィーのオダリスク。
マイケル・ファレルは、タイトルとブーシェのひっかけだけではなく、アイルランドのダブリン(ジョイスの!)出身のオマフィーを起用したわけだ。絵画的引用、視覚言語のしゃれを用いて、アイルランドの画家のイメージを象徴化した絵画シリーズのひとつらしい。
オマフィーの父にフランスに連れて行かれ、恋人のあのカサノヴァに王宮に連れて行かれ、ルイの愛妾になったわけだ。
彼女ルイーズ・オマフィーはルイーズ・オミュルフィと表記されるようになってきた。
マリー=ルイーズ・オミュルフィ(1737-1814)はあの「鹿の園」に住んでいた。彼女はルイ15世の愛妾ポンパドゥール夫人もデュ・バリー夫人とも時代を共にした。フランス革命では一時投獄されたというが、「ポンパドゥール夫人」を「あのお婆さま」とからかったのをルイ15世の怒りをかったが、良縁を紹介され、年金支給を受けて余生をおくれた一人。
ジャコモ・カサノヴァ(Giacomo Girolamo Casanova)が生涯に1,000人の女性とベッドを共にした一人でもあるわけだ。
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