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Vanitas-Stillleben - Antonio de Pereda

虚ろな儚い生命の寓意 アントニオ・デ・ペレーダー


まさにディエゴ・ベラスケス(1599-1660)と時代を共にしている画家。このハプスブルグ家の行く末がわかっているのだ。

スペイン生まれの画家アントニオ・デ・ベレーダー(1611-1678)はフェリペ4世(1605-1665)が16歳で玉座についた年には22歳くらいだっただろう。

「ベラスケスやルーベンスを保護して傑作を数多く描かせ、当代随一の目利きとしてヨーロッパ最高の美術コレクションを築き、後のプラド美術館の礎とした。」というように、国が滅ぶ前は芸術が繁栄する。

その当時、「無能王」のあだ名のついたフェリペ4世の時代をそのまま描いたような作品に繁栄と衰退がみえる。儚い生命とは儚い繁栄ではないだろうか。

Allegorie der Vergänglichkeit

虚栄の寓意 1634年 アントニオ・デ・ペレーダ ハプスブルグ家を象徴


「KAFKAこと楓」と「SAI」が、寓意画をアップしたが、どちらかというと生命力に溢れる五感や大陸を象徴する寓意画。(そうだ、SAIのコメに、僕が面倒がって記事にしないことを告げ口してるじゃないか!)

ヤン・ファン・ケッセル 寓意画
ブリューゲルとルーベンス 五感の寓意画
アントニオ・デ・ペレーダーの「虚栄の寓意」では、カール5世のカメオの下の地球儀で、ハプスブルク王朝が栄えたウィーンを天使は指す。権力と知識を武具や書物が示し、髑髏・蝋燭・砂時計は儚さを示す。いま「THEハプスブルグ」展が開催しているが、650年のこの王朝も落日を向かえたわけで、予言の絵画のように思う。

Antonio de Pereda-The Knight Dream

貴紳の夢 1655年 アントニオ・デ・ペレーダ


作品は知識に快楽、富と権力、偽りと野望、生と死の寓意がはっきりみてとれる「貴紳の夢」だ。まだ夢を見ている貴族は若く、野心満々。まだ気力も体力にも落日が訪れる気配がないのだ。

この作品はスペイン・ハプスブルグ家のマリー・テレーズとフランスのルイ14世の結婚前の作品になる。

次代のカルロス2世(1661-1700)は服を着た獣。近親結婚が繰り返された結果であり、「呪われた」誕生だった。


1659年 ルイ14世とフェリペ4世 ピレネーの和約締結
by テオドール・ファン・テュルデン


カルロス2世が誕生する2年前、スペインは敗北しフランスとスペインの国境がピレネー山脈に確定した。こうしてフランス国王ルイ14世とマリア・テレサ(マリー・テレーズ)の婚姻が取り決められた。

翌年の1660年、画家でもあった廷臣のベラスケスは結婚準備のためフェザン島に赴く。過労のため死亡。

記事「スペイン継承戦争 フェリペ5世への箴言
記事「ベラスケス没後350年 王妃マリー・テレーズの肖像画

アントニオ・デ・ペレーダのような寓意画で衰退を暗示するようなベラスケスではなかった。国王と親密だったベラスケスはフェリペ4世を賛美していたのだろうか?



ベラスケスの作品 フェリペ4世 X線写真 隠されていた顔


おそろしいほど阿呆な顔だ。当時の宮廷では「慰みもの」として道化師や黒人、狂人、X脚の障害者、小人症や矮人をステイタス・シンボルとして傍らに置く。

フェリペ4世もちっともかわらない。

カルロス2世だけが化け物ではない。フェリペ3世から、その呪われた血が少しづつ現れていたのではないか。

この3枚の寓意画を描いたアントニオ・デ・ペレーダはすごい画家だ。スペイン・ハプスブルグ家の行末をこんなにとはっきり描いたわけだから。
| Antonio de Pereda | 23:19 | trackbacks(3)
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