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「Three Ages of the Woman and the Death」(1510)ハンス・バルドゥング・グリーン、 Hans Baldung Grien (1484-1545)Kunsthistorisches Museum(ウィーン美術史美術館) 詩:死の舞踏  アンリ・カザリス
絵画:三時代と死 ハンス・バルドゥング・グリーン
Zig, zig, zig, Death in a cadence,
Striking with his heel a tomb,
Death at midnight plays a dance-tune,
Zig, zig, zig, on his violin.
The winter wind blows and the night is dark;
Moans are heard in the linden trees.
Through the gloom, white skeletons pass,
Running and leaping in their shrouds.
Zig, zig, zig, each one is frisking,
The bones of the dancers are heard to crack—
But hist! of a sudden they quit the round,
They push forward, they fly; the cock has crowed.

「Three Ages of the Woman and the Death」(1510)ハンス・バルドゥング・グリーン、三時代と死 Hans Baldung Grien (1484-1545)Kunsthistorisches Museum(ウィーン美術史美術館)
ど〜も実際に、「死」に対して臆病である。自分自身というより、周囲の死に対してだ。いま、現実に死と向き合っている方には、「甘いよ」と言われてしまいそうだが。

中世ヨーロッパでペストが流行し、人がどんどん死んでいく。デカメロンもペストから逃避した先での物語だが、文学や詩に、当時の「死」に対する人間の心理を読み取ることができる。

それから約400年を経て、サン=サーンスは、この アンリ・カザリスの「死の舞踏」から作曲をする。

絵画作品は、ペストの恐怖から100年以上経てから、この題材がよく扱われるようになった。「死の凱旋」、「死の勝利」などのタイトルを含めて。

Hans Baldung Grien, La jeune Fille et la mort, 1517年 Bâle, Kunstmuseum, バル(バーゼル)美術館、ハンス・バルドゥング・グリーン、 Hans Baldung Grien (1484-1545)ちなみに フランス語

Zig et zig et zag, la Mort en cadence
Frappant une tombe avec son talon,
La Mort, à minuit, joue un air de danse,
Zig et zig et zag, sur son violon.
Zig et zig et zag, chacun se trémousse.
On entend claquer les os des danseurs ;
Un couple lascif s'asseoit sur la mousse,
Comme pour goûter d'anciennes douceurs.
...
Mais, psitt ! Tout à coup, on quitte la ronde,
On passe, on fuit, le coq a chanté.

作品「少女と死」ハンス・バルドゥング・グリーン

日本語訳:僕&
Zig, zig, zig 死の拍子 踵で蹴って墓を打つ 暗闇のなかの死の舞踏
どいつも、こいつも、あいつも、そいつも、ヴァイオリンの調べで 踊るのさ

暗闇には冬の風 しなの木からは呻き声 
闇を横切る白骸(しろむくろ) ガチ ガチ ギシ ギシ 走り飛ぶ

どいつも、こいつも、あいつも、そいつも、 彷徨い 徘徊 走り飛ぶ
骨の割れる音が鳴り響く 苔には 骸の恋人たち 甘い囁きで 懐古する

ジグ ジグ ジグ 死の拍子 ヴァイオリンはギコ ギコ ギコ
暗闇のなかの死の舞踏 死に装束がふっ飛べば 
素っ裸の死の舞踏 骸の恋人 いっそう固く結びつく

骸の女は貴族の奥方 夫の胸に抱かれたつもりが
実はうだつの上がらぬ下品な大工 骸になれば誰が誰やら 見分けがつかぬ

どいつも、こいつも、あいつも、そいつも、サラバンドにあわせ 死の舞踏
ジグ ジグ ジグ 輪になり踊る ほら、ご覧あれ 王も乞食も 手と手をとって 死の舞踏

だが 闇もつかの間 ほら朝がきた。雄鶏の鳴き声とともに 押し合いへしあい
あっという間に 飛び消え去った

美しき闇よ 悲哀多き この世のため そして死と平等へ乾杯しよう。

バーント・ノトケ 「死の舞踏」

二グリステ博物館(ニグリステ教会)の、バーント・ノトケの死者と生者一対になった「死の舞踏」だ。クリックすると画像が大きくなるのでどうぞ。

初期の死の舞踏絵画はパリの教会 サン・イノサン(Saints Innocents)の名があがる。現在は撤去されたフラスコ画(1424年)は、17枚あるらしい。

「バジレア・セプルタ(埋葬されたバーゼル)」には、墓地についての記述があるというが、そこバーゼルは、ペストによって「死の街」となる。

「死の勝利」や「死の舞踏」は、突然やってくる。

最後の勝利者「死」を忘れるな!という警告が描かれたのではないか。

その警告の壁画がドミニコ(ドミニック)修道会院内の「BASLER TOTENTANZ バーゼルの死」(1437-1441)だ。

現在はプレディガーキルへ(教会)と呼ばれているバーゼルのドミニコ会修道院墓地及びドミニコ会修道院クリンゲンタール女子修道院回廊にあり、墓地の壁画は1805年、回廊の壁画は1860年に撤去されている。

墓地の壁画は19枚残っており、模写と補修されたものが、バーゼル博物館に保存されている。

The Seven Ages of Woman - Hans Baldung Museum der Bildenden Künste, Leipzig ライプツィッヒ,造形美術館 「メメント・モリ(死を忘れるな)」

死を思い出せとも訳せる「メメント・モリ」だが、「老いることも忘れるな」と付け加えておこう。(笑)

今回の記事には、ハンス・バルドゥング・グリーンの絵画を使用したのは、彼にはこの類(死、老い)の作品が多いからだ。

この作品は、「女の七時代」で、座り込んだ幼児、処女、新妻、妊婦、中年、老齢、そして、横向きは死。あるいは、幼児、少女、処女、新妻、妊婦、中年、老齢とも生涯を例えることができる。
作品画像
The Seven Ages of Woman - Hans Baldung Museum der Bildenden Künste, Leipzig ハンス・バルドゥング・グリーン 女の七時代 1544 ライプツィッヒ,造形美術館

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サン=サーンス ピアノを囲んで
ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 2007
サン=サーンス 演奏予定
サン=サーンスと集団肖像画
サン=サーンスの自画像
フォーレが描いたサン=サーンス
猫の音楽家 / 死の舞踏
デューラー 「死の馬乗り」

死の勝利 そして死の舞踏 ピーテル・ブリューゲル 「死の勝利」
フランツ・リストとカンポサント教会 死の勝利 ブオナミーコ・ブファルマッコ
ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 2007 フランツ・リスト 演奏予定

ジョバンニ・ボッカッチョ, Giovanni Boccaccio
ペストとデカメロン
タペストリー「運命の三女神」
聖マリア(マリエン)教会 ドーム壁画
「ディアナの狩猟 La caccia di Diana」、「Filocolo フィロコロ」、「Filostrato フィロストラート」や「Teseida テゼイタ」、「牧歌 Buccolicum Carmen」、「名婦人伝記 Juana I de Anjou」、「ダンテ賛美論 Vita di Dante」などの作品紹介。

Henri Cazalis,1840-1909
アンリ・カザリスは、ジャン・ラオール(Jean Lahor)という筆名で、アンリ・デュパルクの 悲しい唄、フローレンスのセレナーデ、恍惚などの詩も挙げられるが、「ウィリアム・モリス デコラティブ・アートと新しい方向」などの著作本もある。

アンリ・カザリスは、画壇にも登場するポーやボードレールと交流のあるステファン・マラルメや、エマニュエル・デ・ゼッサールと友情を結んでいる。

若かりし彼らは、ヴィクトル・ユゴー、テオフィル・ゴーチェ、シャルル・ボードレールに傾倒し、模倣をした時代もあったという。

Three Ages of Man and Three Graces (1539) - Hans Baldung Museo del Prado, Madrid プラド美術館さて、最後の作品も、ハンス・バルドゥング・グリーン。「人生の三時代と三美神」だ。「The Seven Ages of Man」というタイトルの絵画作品は古典的な題材で、「人生の七つの顔」と訳されてもいる。最初の作品も「人生の三つの顔」でもよいのだろう。

ウィリアム・シェイクスピア(1564-1616)の「お気に召すままに」の "The Seven Ages of Man" の章がある。

「この世は芝居そのものだ。男も女も役者にすぎない。出番があって、退場する。一人の人間は、その人生で様々な役柄を演じ、七つの時代を生きるのだ。」
作品
人生の三時代と三美神 ハンス・バルドゥング・グリーン プラド美術館 The Ages of Man and Death, Harmony, or The Three Graces, 1541-44 Prado Museum
「The Seven Ages of Man」は、シェークスピア以前であり、もともと「The Ages of Man」として、Three Ages (三つの時代)、Four Ages (四つの時代)、Seven Ages(七つの時代)という題材があった。

三つの時代は、Tiziano Vecellio (ティツィアーノ・ヴェチェッリオ 1490-1576) 「The Three Ages」、四つの時代は、月の満ち欠けや朝、昼、夕、夜から、四季などを主題にした彫刻もある。

このハンス・バルドゥング・グリーンの「人生の三時代と三美神」は、左の「The Three Ages and Death (三時代と死)」と「Three Graces (三美神)」が対になっている作品だ。タイトルが「Three Graces (三美神)」とあるが、「運命の三女神」かもしれないね。

四時代と同様に、人生の子午線通過(Culmination of Life)として、満月(フルムーン)を、ライト、ブライトの比率であらわすことで、この「三時代と死」のそれぞれを四時代にあてはめることもできる。

つまり、人生の子午線通過は、三時代、四時代、七時代とそれぞれの象徴があるのだ。

ギュスターヴ・モローの「人類の生」で紹介した、古代の詩人ヘシオドス。

モローの人類の生の10枚と、そのなかでモローが描いたヘシオドスにも登場するタイトルに、金の時代、銀の時代というヘシオドスの五大説がある。

「The Ages of the World (人類世界の生)」でも、Golden Age(金)、Silver Age(銀)、Bronze Age(銅)Heroic Age(英雄)、Iron Age (鉄)、Recurrence(再帰性)、Carnivora and War (肉食と戦争)、Technology Nostalgia (人類の創造物への追憶)と、ヘシオドスの五大説同様に、聖書や神話から時代を区分している。

さてさて、僕ら人生の子午線通過の、ライトとブライトの比率はどうなってんのか。知るのがちょっと怖い。
| 死の舞踏 | 00:00 | trackbacks(4)
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