<< ドゥニ・ディドロ ディドロと演劇 | main | アニー・リーボヴィッツ VOGUE の不思議の国のアリス VS ダリの不思議の国のアリス >>

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | | -

ハプスブルク家と敵対するフランス王アンリ2世の元で戦ったアルフォンソ2世・デステ。彼の父はエルコレ2世・デステ、母はルイ12世の次女で、フランソワ1世(アンリ2世の父)の王妃の妹にあたるルネ(公妃レナータ)だった。

デステ家は、イタリアにおいて有力な貴族の家系エステ家(famiglia d'Este)だ。

そうだ!アンリ2世に嫁いだカトリーヌ・ド・メディシスのメディチ家と同じくらい芸術家擁護でも知られる。フィレンツェにはメディチ家、ミラノのスフォルツァ家、フェラーラのエステ家、マントヴァのゴンザーガ家、パルマのファルネーゼ家が有名な芸術家たちを庇護していた。



ジョヴァンニ・バッティスタ・グァリーニ
(Giovanni Battista Guarini 1538-1612)


ちょうどイタリアルネサンス期(14世紀 - 16世紀)の時代、アルフォンソ2世・デステはフェラーラの栄光を高めた人物だ。芸術と科学を好み、宮廷オルガン奏者にルッツァスコ・ルッツァスキ、そして彼がパトロンになったのは、トルクァート・タッソ、ョヴァンニ・バッティスタ・グァリーニ、チェーザレ・クレモニーニら。

フランスの18世紀の公妾ポンパドゥール夫人(1721-1764)の肖像画(モーリス・カンタン・ドゥラトゥールの作品)に、アルフォンソ2世・デステが庇護したョヴァンニ・バッティスタ・グァリーニの「実な羊飼い(パストル・フィード)が、フランスの哲学の時代を象徴するィドロランベールの百科全全書、ォルテールのアンリナードといっしょに描きこまれている。

ァリーニ(1533-1597)はフェラーラで生まれ、29歳でアルフォンソ2世・デステに仕え44歳でヴィッラ・グァリーナに隠退。

そして1590年に忠実な羊飼い(Il pastor fido)を発表した。

wikiによると、
このスタイルが洗練された牧歌的悲喜劇は、多くの言語に翻訳され、17世紀はとても人気があった。この作品は18世紀後半まで続く優雅かつ勇壮な規則のパターンを定めた。
とある。



ジャン=フィリップ・ラモー
ジョヴァンニ・バッティスタ・グァリーニの「忠実な羊飼い」を作曲


啓蒙思想家の書物といっしょに並べられているのは、ジャン=フィリップ・ラモー(Jean-Philippe Rameau)が、「忠実な羊飼い Le berger fidèle」を1728年に室内カンタータ として作曲した。

このラモーはルソーに攻撃される。

だが、ポンパドゥール夫人の肖像画にあるョヴァンニ・バッティスタ・グァリーニ の「忠実な羊飼い」は、絵画、音楽、オペラに通じる牧歌的悲喜劇の代表作として肖像画に描きこんだわけではなく、フランスの作曲家ラモーを印象付けたのだろうと思ったわけ。

またダランベールは百科全書序論で「フランスの芸術のその模倣は、とりわけイタリアの芸術に感謝しなければならない」と結んでいるからして、その意味も含めたのかと考えた。

しかもちゃっかりポンパドゥール夫人は自分の版画作品まで描き込ませて、芸術家気取り。

ヴォルテールの戯れ歌 ポンパドゥール夫人 この記事に掲載されている。

この肖像画を描いたモーリス・カンタン・ドゥラトゥールには黒幕が一人背後にいたのだろうか。

本題に戻る。ョヴァンニ・バッティスタ・グァリーニ の忠実な羊飼いは、短い音楽パターンに最適で、音楽がその詩のテクスト通りに模倣する音楽技法(Text painting ou Word painting)に適していたらしい。このテクストペインティング(テキストペインティング)なる元祖がグレゴリオ聖歌になる。

この筋は、羊飼いのMIRTILLO (ミルティッロ、ミルティーロ)と狩人のSilvio(シルヴィオ)の婚約者である妖精のAmarilli (アマリッリ)の恋の悲喜劇。



「忠実な羊飼い」1602年イタリアチオッティ版


次のとおりのセクションでパストラル・ドラマ(牧歌劇)になっている。

Alfeo, fiume d'Arcadia
Silvio, figlio di Montano
Linco, vecchio, servo di Montano
Mirtillo, amante di Amarilli
Ergasto, compagno di Mirtillo
Corisca, innamorata di Mirtillo
Montano, padre di Silvio, sacerdote
Titiro, padre di Amarilli
Dameta, vecchio, servo di Montano
Satiro, vecchio, amante già di Corisca
Dorinda, innamorata di Silvio
Lupino, capraio, servo di Dorinda
Amarilli, figlia di Titiro
Nicandro, ministro maggiore del sacerdote
Coridone, amante di Corisca
Carino, vecchio, padre putativo di Mirtillo
Uranio, vecchio, compagno di Carino
Messo
Tirenio, cieco, indovino
Coro di pastori
Coro di cacciatori
Coro di ninfe
Coro di sacerdoti

アルカディアからはじまり司祭で終わる牧歌劇だが、原文を読むと、散文と詩と戯曲の混ざりあいのような感じで、イタリア語に疎いので、よくわからないままテクストだけを目で追ったわけ。

グァリーニとおなじく、詩人トルクァート・タッソもアルフォンソ2世・デステの庇護を受けていた。タッソはアルフォンソ2世・デステの妹君レオノーラに恋し、監禁先から羊飼いに変装しレオノーラに会いに行ったらしい。それはタッソを精神病院に入れてしまうことで終わったが、この羊飼いの悲喜劇に着想を得たのかというのが素人の僕の考え。

とにかく結構長くって、女装するミルッティロ。そして目隠しゲームで、ミルティッロとアマリッリは見事キスをするなど盛りだくさんの恋のさやあてが書かれている。



1778年英国出版の忠実な羊飼い


ジョヴァンニ・バッティスタ・グァリーニ  忠実な羊飼いの原文

Chi ben cominciala la metà dell'opra: " Nè si comincia beo, se non dal Ciclo. line. Lodo ben, Silvio, il venerar gli Dei; Ma il dar noja a coloro Clic son ministri degli Dei, non lodo. Tutti dormono ancora I custodi dei Tempio,! quai nonhanno, Più tempestivo o lucido oriizonte, Della cima del monte. Silv. A te, che forse non se'desto ancora,


Par ch'ogni cosa addormentata sia.
line. O Silvio, Silvio, a che ti diè Natura
Ne'più begli anni tuoi
Fior di beltà sì delicato e vago,
Se tu sei tanto a calpestarlo intento?
Che se avess'io cetesta tua si bella
E sì fiorita guancia,
Addio, selve, direi,
E seguendo altre fere,
E la vita passando in festa e in gioco,
Farei la state all'ombra,e'l verno al foco.
$ilv. Così fatti consigli

Non mi desti mai più: come sei ora
Tanto da te diverso?
JÀn. „ Altri tempi, altre cure<

Così certo farei, se Silvio fossi.
S'àv. Ed io, se fossi Lineo :
Ma perchè Silvio sono,
Oprar da Silvio e non da Lineo io voglio,
Un.Oli garzon folle! achecercarlontana
E perigliosa fera,
So 1' hai via più d'ogni altra
E vicina e domestica e sicura?


iMc. Parli tu daddovero, o pur vaneggi?

Lin. Vaneggi tu, non io.

Silv. Ed è così vicina ?

Lìn. Quanto tu di te stesso.

Silv. la qual selva s'annida ?


こんな具合のテクスト。

さて、ラモーのほかにヴィヴァルディのソナタやヘンデルのオペラなど、ジョヴァンニ・バッティスタ・グァリーニの名を知らなくとも「忠実な羊飼い」はみんな知っている。




1778年英国出版の忠実な羊飼い 司祭の場面
不倫疑惑に「罪は許された」というところか。


グァリーニの忠実な羊飼いは、先に紹介したラモーらのほか、当時の作曲家クラウディオ・モンテヴェルディ、フィリップ・デ・モンテ、18世紀のオペラの作家ピエトロ・メタスタージオと、音楽やオペラに非常に深く浸透しているが、結構絵画作品にも多いようだ。

ピーター・ファン・リント(Pieter Van Lint 1609 - 1690)、アドリアン・ファン・ニウラント(Adriaen van Nieulandt the younger 1587- 1658)、ダニエル・ヤンスゾーン・ジヴェート(Daniel Janszoon Thivaert1613-1657)、フィリッペ・クエンティン (Philippe Quentin 1600-1636) など、17世紀の作品が多い。

特に、狩人シルヴィオと矢が刺さったドリンダ。



シルヴィオとドリンダ(Silvio and Dorinda)
カルロ・フランチェスコ・ヌヴォローネ(Carlo Francesco Nuvolone)


このシーンはモンテヴェルディのマドリガーレでも歌われている。「ドリンダよ、お前が私のものでなくても私のものだと言おう」(Dorinda, ah diro mia, se mia non sei)、「シルヴィオよ、胸を痛める必要はない」(Ferir quel petto, Silvio)などがこの場面。

Se tu mi saettasti,
Quel ch’è tuo saettasti,
E feristi quell segno
Ch’è proprio del tuo strale.
Quelle mani, a ferirmi,
Han seguìto lo stil de’ tuo’ begli occhi.
Ecco, Silvio, colei che ‘n odio hai tanto,
Eccola in quella guisa
Che la volevi a punto.
Bramastila ferir:  ferita l’hai;
Bramastila tua preda:  eccola preda;
Bramastila alfin morta:  eccola a morte.
Che vuoi tu più da lei? che ti può dare
Più di questo Dorinda?  Ah garzon crudo!

その胸を傷つけるとは、シルヴィオよ!なんと残酷な!

シルヴィオはこのあと、自分の胸にもその矢で傷をつけようとする。シルヴィオとドリンダの二人の胸がはだけているのがそのシーンだ。



アマリッリとミルティッロ (Amaryllis and Mirtillo)
アンソニー・ヴァン・ダイク(Anthony van Dyck, 1599- 1641)
画像は大きさの都合上ディティール(部分)だから。


さてアマリッリに王位が授けられ、アマリッリの戴冠式が行われる。とにかくミルティッロとはハッピーエンドになるというわけだが、絵画のほうはヴァン・ダイクの画像をアップした。

ヴァン・ダイクは師のルーベンスのほか、ティツィアーノらの影響があるといわれているが、この忠実な羊飼いの「アマリッリとミルティッロは、ティツィアーノのバッカナールとアンドリアン(Bacchanal with the Andrians)を模倣したもの。

なぜ、ヴァン・ダイクはこのアマリッリとミルテッロを描いたのだろうと考えたら、1621年から1628年までイタリアに滞在していたわけだ。

ちょうどイタリアに行った1621年から1622年にこの作品を完成させている。

なんだかさ、イタリア語の勉強になると思ったが、考えたり調べたりしながら読むのって、もう面倒だ。
| BOOK | 23:44 | trackbacks(0)
| - | 23:44 | -
TRACKBACK
この記事のトラックバックURL
PROFILE

無料ブログ作成サービス JUGEM
CATEGORIES
ARCHIVES
LINKS
Previous Posts
LIFE STRIPE
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
SELECTED ENTRIES
RECENT TRACKBACK
覚書
HR style="COLOR: #cccccc"
MOBILE
qrcode
OTHERS
SPONSORED LINKS