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The Virgin and Child with St Martina and St Agnes 1597-99 by EL GRECO  National Gallery of Art, Washington 

エル・グレコ 聖アグネスと聖マルティナのいる聖母子
ワシントン,ナショナル・ギャラリー


1597年から1599年にかけて制作され、トレドのサン・ホセ礼拝堂(聖ヨゼフ礼拝堂)の主祭壇の右側(南祭壇)にあった「聖アグネスと聖マルティナのいる聖母子」は、現在はナショナル・ギャラリー(ワシントン)にある。


ライオンを従え殉教者の印である棕櫚の葉を持つ聖マルティナ。226年、炉で焼かれ、ライオンに脅かされ、斬首で殉教した聖マルティナの遺骨は、1634年にマルティナと息子たちの墓が見つかっているという。えっ!子供いたの?処女聖人とあるけど?

このライオンの額にエル・グレコの名ドメニコス・テオトコプーロスのイニシャルが書き込まれたとあったが、何語で書いた?ギリシャ語だとΔομήνικος Θεοτοκόπουλος、だが、あらら、普通にDoménikos Theotokópoulosだった。

ElGreco signature

エル・グレコ(ドメニコス・テオトコプーロス)の署名


なんで子羊ではなく、ライオンにイニシャルを書き込んだのだろう?デザイン的な問題だろうか。1月30日が聖マルティナの祝日なので、エル・グレコの生誕と関係あるかと思ったが、わからない。

右の聖女は、ギリシャ語で「純潔な、神聖な」というイネス(hagnē ,ἁγνή) と呼ばれる聖アグネスで子羊がアトリビュート。ラテン語の子羊 agnus(アグヌス、アニュス)と言われる所以。

capilla de San José   Altarpiece Saint Joseph and the Infant Christ with The Coronation of the Virgin by El Greco


この南の祭壇画「聖アグネスと聖マルティナのいる聖母子」の中央に位置する主祭壇。上段のスキームに「聖ヨセフと幼子キリストのいる聖母戴冠」、主祭壇に「聖ヨセフと幼子キリスト」が描かれた。

「聖ヨセフと幼子キリストのいる聖母戴冠」は他にもある。良く似ている構図のものが多い。この主祭壇の2枚については記事の最後で紹介。

エル ・ グレコは、主祭壇の両側にダビデとソロモンの彫像を置き、主祭壇の北の祭壇(左側)に「聖マルティヌスと乞食」の祭壇画を置いた。


ご存知のようにエル ・ グレコの「聖マルティヌス(サン・マルタン)と乞食」のレプリカは多く存在している。

エル ・ グレコの「聖マルティヌスと乞食」は、聖マルティヌスのイコンのとおりに描かれているみたいだ。

St. Martin  After a detail of a painting by Hans Memling,Martino  Gonçal Peris

右 祭壇画から 聖マルティヌスと乞食 1420 (部分)  ゴンサル・ペリス  
左 イコン 聖マルティヌス 1487 (部分) 一部にハンス・メムリンク


El Greco  St Martin and the Beggar 1597-99 National Gallery of Art, Washington

エル ・ グレコ サン・ホセ礼拝堂 「聖マルティヌスと乞食」 1597-99
193.5 x 103 (左少し切れてます)  ワシントン・ナショナル・ギャラリー


Anonymous Artist (Workshop of El Greco)Saint Martin and the Beggar, 1600/1614 National Gallery of Art, Washington, DC,El Greco Saint Martin and the Beggar, 1599 CHI MEI MUSEUM, TAINAN, TAIWAN

聖マルティヌスと乞食   右 エル・グレコ 1599年頃 奇美博物館
左 エル・グレコ工房作品 ワシントンナショナル・ギャラリー 1600-1604


El Greco (Domenikos Theotokopoulos)  Saint Martin and the Beggar, 1597/1600  The Art Institute of Chicago

エル ・ グレコ 「聖マルティヌスと乞食」 1597-1600
110 x 63 シカゴ美術館所蔵


シカゴ美術館所蔵のエル・グレコの「聖マルティヌスと乞食」 は、サン・ホセ礼拝堂の 「聖マルティヌスと乞食」の制作時期とほとんどいっしょ。エル・グレコの「聖衣剥奪」も礼拝堂と同じ時期に描かれた作品があり、もしかするとほとんどの礼拝堂や施療院に収められた作品には、レプリカではなく、「オリジナル」が別に存在しているのかもしれない。




le Greco Pablo Picasso


5、6年前にグラン・パレで「ピカソと巨匠たち」(Picasso et les Maitres)があって、その会期に合わせてルーヴルでピカソ - ドラクロワ展、オルセーでマネの草上の昼食が、パリピカソ美術館と協賛して開催された。

その時に、リーフレットやカタログ、ちまたのフリーペーパーにも、ピカソと巨匠たちの類似作品が並んだ。もともとピカソは模倣作品としてタイトルにつけていた「マネの草上の昼食」をはじめ、ドラクロワやダヴィッドなどがある。

それ以外の作品に類似点を見つけているのがエル・グレコの「聖マルティヌスと乞食」とピカソの「馬を引く裸の少年.1906」 (MoMA)だ。

こんなにレプリカがあるので、どの「聖マルティヌスと乞食」 にインスピレーションを得たんだろう。



それでは主祭壇の二枚。

聖人と聖女の祭壇画の中央、その上段のスキームに「聖ヨセフと幼子キリストのいる聖母戴冠」も同じパターンを繰り返している。

The Coronation of the Virgin 1597-99 by EL GRECO

エル・グレコ 聖ヨセフと幼子キリストのいる聖母戴冠
1597-99 サン・ホセ礼拝堂


サンタ・クルス美術館所蔵の「聖母戴冠」(1591)に似ている。その「聖母戴冠」はタラベラ・デ・ラ・ビエハの礼拝堂の祭壇画だった。

The Coronation of the Virgin(church of Talavera la Vieja in Toledo) 1591 Museo de Santa Cruz, Toledo現在はサンタ・クルス美術館に所蔵されている「聖母戴冠」は、1591年のタラベラ・デ・ラ・ビエハの礼拝堂の祭壇画になる。

聖アンデレと聖ペテロと3枚による祭壇画だったらしい。

このパターンがサン・ホセ礼拝堂、イリェスカス、カリダー施療院(カリダード施療院)の「聖母戴冠」(1603-05)とアテネ国立美術館にあるカリダー施療院(カリダード施療院)の「聖母戴冠」の原画に使われている。

プラド美術館所蔵の「聖母戴冠」は、この諸聖人を除いた上部にこのパターンを使用している。

プラド美術館は99×110cmのもので、何かの祭壇画の一部だったのかなーと思ってるけど。天上には父なる神とキリストと聖母。

Coronation of the Virgin, woodcut by Albrecht Dürer, 1510, Honolulu Academy of Arts

左  アルブレヒト・デューラー 母の被昇天と戴冠(木版画) 1510 
ホノルル美術アカデミー所蔵


Athens National Gallery The Coronation of the Virgin

カリダー施療院(カリダード施療院)の「聖母戴冠」の原画 アテネ国立美術館


アルブレヒト・デューラー(Albrecht Dürer)の木版画の模倣といえる。似てるよね。

El Greco (y taller) The Coronation of the Virgin 1592 Museo Nacional del Prado

エル・グレコと工房作品 聖母戴冠 1592年 プラド美術館


サン・ホセ礼拝堂の「聖母戴冠」は模倣作品なども多い。それでは、最後は「聖ヨセフと幼子キリスト」。



エル・グレコ 聖ヨセフと幼子キリスト 1597-99
サン・ホセ礼拝堂


このサン・ホセ礼拝堂の「聖ヨセフと幼子キリスト」は、ポスターなんかもあるようだ。このレプリカがサンタ・クルス美術館にあるらしいけど、見た記憶がない。

サンタ・クルス美術館サイトでも調べたが。所蔵しているのは確からしいけど展示されていないようだ。

St Joseph and the Christ Child c. 1600 Museo de Santa Cruz, Toledo

エル・グレコ 聖ヨセフと幼子キリスト 1600
サンタ・クルス美術館


養父と表現される聖ヨセフ。マタイによる福音書 1章18〜25節では「ヨセフの受胎告知」が記されている。マリアの「受胎告知」は、ルカ福音書 1章26節−38節にある。

ナザレのヨセフはキリストが十字架にかけられる前に亡くなっているから、聖母マリアに比べて幸福な死だったかもしれない。あんまり描かれていないし、描かれていたとしても老人のようだが、エル・グレコの作品では、大工という男らしいカンジも受ける。

★2012.10.24 エル・グレコ作品記事リンク先
XAI エル・グレコ オルガス伯爵の埋葬

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