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The Baptism of Christ 1608-28 Hospital Tavera, Toledo

エル・グレコ キリストの洗礼 1608-28
タベラ施療院(タベーラ施療院) サン・ファン・バウティスタ礼拝堂


トレドのタベラ施療院にあるサン・ファン・バウティスタ礼拝堂に、「キリストの洗礼」がある。この祭壇画が絶筆となり、息子のホルヘ・マヌエル・テオトコプリが引き継いだ。

ご存知のようにプラド美術館所蔵の「キリストの洗礼」と非常に良く似ているが、プラド美術館所蔵の作品は、マドリッドのドーニャ・マリア・デ・アラゴン学院の祭壇画の一つ。

追記
国立古代美術館(ローマ)を忘れていた。1997年のx 線解析でエル・グレコの手によるものとされた、プラド美術館所蔵の「キリストの洗礼」と「羊飼いの礼拝」にそっくりな作品。実はこの国立古代美術館(ローマ)のもののほうがオリジナルの可能性もあるかも。

El Greco presenti a Palazzo Barberini(Galleria Nazionale dArte Antica, Rome), l’Adorazione dei Pastori e il Battesimo di Gesù. Adorazione dei Pastori Il Battesimo di Gesù

エル・グレコ 礼拝堂のトリプティック (三連祭壇画)の2枚(1枚は不明)
「羊飼いの礼拝」、「キリストの洗礼」 1597年頃(1596-1600)
バルベリーニ宮殿,国立絵画館


記事エル・グレコとその工房 受胎告知にはプラド美術館所蔵の「羊飼いの礼拝」を掲載(テキストリンクから)しているので見比べてみて。

The Baptism 1596-1600 Museo del Prado, Madrid

エル・グレコ  ドーニャ・マリア・デ・アラゴン学院 大祭壇衝立画  
キリストの洗礼 1596-1600 プラド美術館所蔵


この作品を含めたドーニャ・マリア・デ・アラゴン学院の祭壇画の不明を除く6枚は先のリンク記事を同じく掲載しているからそちらからご覧あれ。

記事 エル・グレコとその工房 受胎告知

エル・グレコとその工房 受胎告知には、サンタンデール・セントラル・イスパノ銀行所蔵の「受胎告知」も紹介しているが、その「受胎告知」もタベラ施療院 サン・ファン・バウティスタ礼拝堂の祭壇画の一枚だ。

Church of San Juan Bautista Altarpieces for the Fundación Casa Ducal de Medinaceli, Hospital de Tavera, Toledo, Spain

タベラ施療院 サン・ファン・バウティスタ教会
メディナセリ公爵家財団


右側にあるのが「キリストの洗礼」(1608-28)になる。サンタンデール・セントラル・イスパノ銀行所蔵の「受胎告知」、アテネ国立美術館の「天使の合奏」、メトロポリタン美術館所蔵の「第五の封印(聖ヨハネの幻視)」、そして「キリストの洗礼」が祭壇画として制作された。そして不明の絵が1点あるらしい。



切り取られた天使の合奏と第五の封印 1608-28
どんなカンジの祭壇画だったのかな?


EL GRECO Angelic Concert  c. 1610 National Gallery, Athens

切り取られたエル・グレコの「奏楽の天使」 115 x 217  
1608-28  アテネ国立美術館


Annunciation 1608-14 Santander Central Hispano, Madrid

切り取られたエル・グレコの「受胎告知」 1608-14
サンタンデール・セントラル・イスパノ銀行


受胎告知の上部が「天使の合奏」だとあったけど、この「受胎告知」にも小さく天使の合奏が描きこまれているのだが。

The Opening of the Fifth Seal (The Vision of St John) 1608-14

切り取られた エル・グレコ 「第五の封印(聖ヨハネの幻視)」
1608-28  メトロポリタン美術館


未完の「第五の封印(聖ヨハネの幻視)」は破壊されて上部が切り取られているらしい。その上にはたぶん「子羊が七つの封印を開封する」ではないかと言われている。

「ヨハネの黙示録」によると、6章-8章5節は「子羊が七つの封印を開封する」となっており、「第五の封印」は6章-9章11節で、「殉教者が血の復讐を求める」という解釈だ。


 

Les Demoiselles dAvignon, 1907, Pablo Picasso MOMA, The Museum of Modern Art, New York

アビニヨンの娘たち  ピカソ  1907  MoMA


グラン・パレの「ピカソと巨匠たち」(Picasso et les Maitres)から。




Doménikos Theotokopoulos, EL GRECO Retrato del Cardenal Juan Pardo Tavera ca. 1610 Hospital de Tavera

エル・グレコ 枢機卿ファン・タベラの肖像 1610 (死後65年後)
メディナセリ公爵家財団タベラ施療院


タベラ施療院(タベーラ施療院)の創設者は枢機卿ファン・タベラ(1472-1545)。エル・グレコが生まれた1541年にタベラ施療院の建設が始まり完成したのが18年後の1559年。

エル・グレコ(1541-1614)が描いた枢機卿ファン・タベラの肖像画もここにある。枢機卿の死後65年後に描かれたものだ。エル・グレコが4歳の時に亡くなっているという人物の肖像画。

View and plan of Toledo. El Greco Museum. Toledo


エル・グレコ美術館所蔵の「トレドの景観と地図」(1610-14年)では、エル・グレコはこのタベラ施療院の完成を雲を描いて祝福しているかのようだ。

このタベラ施療院はスペインの名門貴族メディナセリ公爵家の所有するもので、機卿ファン・タベラの施療院は、いまはメディナセリ公爵家財団の宮殿美術館となっている。

Hospital Tavera, Toledo

タベラ施療院(メディナセリ公爵家財団)


メディナセリ公爵家のタベラ施療院でのコレクションにはエル・グレコのほか、エル・グレコの師ティツィアーノ、ティントレット、ホセ・デ・リベーラ、ピーテル・ブリューゲル、フランス・スナイデルス、ヤコポ・バッサーノ、フランシスコ・デ・スルバラン、アロンソ・サンチェス・コエリョと巨匠の名作がいっぱいある。

エル・グレコがタベラ施療院(サン・ファン・バウティスタ教会)の依頼を受けた時代のメディナセリ公爵は第6代目のファン・デ・ラ・セルダ(1569-1607)。彼が依頼主かどうかは知らないが、この展示室にかかるのは「枢機卿ファン・タベラの肖像」と「聖家族」になる。

La Sagrada Familia con Santa Ana  THEOTOKÓPOULOS, Doménikos (El Greco)  ca. 1595

聖アンナのいる聖家族 1590 -1595  タベラ施療院(メディナセリ公爵家財団)


もちろんこの「聖アンナのいる聖家族」は絶筆じゃない。

タベラ施療院(サン・ファン・バウティスタ教会)の祭壇画「キリストの洗礼」、「奏楽の天使」、「受胎告知」、「「第五の封印(聖ヨハネの幻視)」が絶筆。

びっくりしたのは、この作品がエル・グレコ一家となっている記事があったことだが?

正妻ではなく、37年間同棲していたヘロニマ・デ・ラス・クエバスに似ている気もする聖母マリア。そしてイエスは二人の息子ホルヘ・マヌエル・テオトコプリ(1575-1631)なのだろうか?

これまでは、この作品に関してそういう説が解釈されていないようだけど。別のヴァージョンではそういう説のあるものがある。

La Sagrada Familia con María Magdalena y plato de frutas by El Greco

エル・グレコ マグダラのマリアと聖家族
右 1590-95 クリーブランド美術館  左 1610-11 ソウマヤ美術館




エル・グレコ 白貂の毛皮をまとう貴婦人(ヘロニマ・デ・ラス・クエバス)  1577-1590  グラスゴー美術館
エル・グレコ マグダラのマリアと聖家 部分 1590-95 クリーブランド美術館


クリーブランド美術館所蔵の「マグダラのマリアと聖家族」の聖母は愛人ヘロニマ・デ・ラス・クエバス、聖ヨセフはエル・グレコの肖像画という解釈もある。

El Greco

エル・グレコ 聖家族 1580年頃 アメリカ・ヒスパニック(スペイン)協会
エル・グレコ 聖アンナのいる聖家族 1600 ブタペスト美術館所蔵


いろんなヴァリエーションが存在するエル・グレコの「聖家族」。所蔵先のタベラ施療院(サン・ファン・バウティスタ教会)、美術館サイトでもそのような指摘はなかった。

1580年の「聖家族」(アメリカ・ヒスパニック協会)は、グレコの息子が5歳の時なので、もしかするとそうかもしれない。この作品とタベラ施療院(メディナセリ公爵家財団)の聖母マリアの顔が似ている。

El Greco

アメリカ・ヒスパニック協会所蔵、タベラ施療院(メディナセリ公爵家財団)所蔵


サンタ・クルス美術館所蔵の「聖アンナと幼子聖ヨハネと聖家族」では、献納者の肖像画を聖ヨセフとして描いている。

The Holy Family El Greco (Domenikos Theotokopoulos) Museo de Santa Cruz, Toledo

古いヴァージョンのひとつ エル・グレコ 聖アンナと幼子聖ヨハネと聖家族
1586-88 サンタ・クルス美術館


The Holy Family with Saint Anne and the Infant John the Baptist by El Greco (Domenikos Theotokopoulos)

エル・グレコ 聖アンナと幼子聖ヨハネと聖家族
右 1594-1604 プラド・美術館 なぜか現在は公開されていない
左 1595-1560 サミュエル・H・クレスコレクション ワシントン・ナショナル・ギャラリー


タベラ施療院(メディナセリ公爵家財団)の所有する「聖アンナのいる聖家族」(1590 -1595)は、1631年にアロンソ・カポシュ(冶金学者?)の未亡人テレサ・デ・アギレラからの寄付らしい。

タベラ施療院(メディナセリ公爵家財団)には、これもまたバージョンの多いエル・グレコの「アッシジの聖フランシスコ」がある。

San Francisco de Asís,St Francis in Prayer before the Crucifix

エル・グレコ、工房作品 アッシジの聖フランチェスコ タベラ施療院(メディナセリ公爵家財団)所蔵
エル・グレコ ひざまずいて瞑想する聖フランチェスコ 1585-90 ビルバオ美術館


9 つくらいのバージョンのある「十字架の前で祈る聖フランチェスコ」で、所蔵されているバージョンは右側にキリストの十字架を置き、ひざまずいて瞑想するポーズの作品。ビルバオ美術館が古いのだろうか。タベラ施療院(メディナセリ公爵家財団)所蔵の聖フランチェスコは1600年頃。

St Francis Meditating

聖フランチェスコの瞑想 1595 サンフランシスコ美術館
ひざまずいて瞑想する聖フランチェスコ 1595-1600 シカゴ美術館
ひざまずいて瞑想する聖フランチェスコ 1605-10 個人所蔵


スペイン語の訳に間違いがなければ、タベラ施療院(メディナセリ公爵家財団)の「アッシジの聖フランチェスコ」は、聖職者で施療院学長ドン ・ ペドロ ・ サラザール ・ デ ・ メンドーサの所有していたものだったらしい。彼はトレド大聖堂、聖ホセ施療院(聖ヨハネ施療院)を管理していたという。聖ホセ施療院(聖ヨハネ施療院というのがタベラ施療院。

エル ・ グレコのパトロンであり友人でもあった。でもこの人の肖像画は残ってないね。

たぶんトレドの教会や施療院の仕事をエル・グレコに斡旋していたのではないだろうか。1600年ごろと言われているこの作品だが、息子ホルヘ・マヌエル・テオトコプリと工房による作品かもしれない。

この施療院学長ドン ・ ペドロ ・ サラザール ・ デ ・ メンドーサのエル・グレコのコレクションはまだある。

Las Lágrimas de San Pedro THEOTOKÓPOULOS, Doménikos (El Greco)

エル・グレコ 悔悛する聖ペテロ 1605年
タベラ施療院(メディナセリ公爵家財団)


El Greco San Pedro en lágrimas, (St. Peter in Tears), Ca.1587-1620. Toledo, Museo del Greco

エル・グレコ、工房作品 悔悛する聖ペテロ 1587-1620年
エル・グレコ美術館


The Penitent Saint Peter, ca.1590-95 San Diego Museum of Art

エル・グレコ 悔悛する聖ペテロ 1590-95年
サンディエゴ美術館


エル・グレコ美術館の「悔悛する聖ペテロ」は死後に完成されたよう。この主題の多く作品に残している。

The Tears of St. Peter  Domenikos Theotokopoulos El Greco  The Bowes Museum

エル・グレコ 悔悛する聖ペテロ 1580-1589年
ボウズ美術館


ボウズ美術館所蔵の「悔悛する聖ペテロ」から派生したバージョンだろうか。

タベラ施療院に所蔵されている作品を含め、エル・グレコの晩年、未完成の作品には、息子ホルヘ・マヌエル・テオトコプリ、工房による作品が多いようだ。

Retrato de Jorge Manuel by El Greco Museo de Bellas Artes de Sevilla ,  Portrait of a painter, after El Greco, 1950 Artist: Pablo Picasso Collection Rosengart, Lucerne

エル・グレコ ホルヘ・マヌエル・テオトコプリの肖像画 セビリア美術館
ピカソ エル・グレコに基づく 画家の肖像画 1950 ルツェルン・ローゼンガルト・コレクション


WIKIによるとグレコの作風が受けない時代に入り、グレコの形式に倣うホルへ・マヌエルには、父の死後に画家として名の残るものはないらしい。

★2012.10.24 各作品記事リンク先
XAI エル・グレコ オルガス伯爵の埋葬

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