一定期間更新がないため広告を表示しています
実は学生の頃、「オリエント急行」を読もうと思って間違って買ったのが「青列車の秘密」だった。
大富豪の娘に次から次へと欲しいものを与える親。ルーファス・ヴァン・アルディン。怪しい取引で身の危険もかえりみずに、娘のプレゼントのルビーを手に入れる。ロシアの女帝エカチェリーナのルビーだ。
学生だった当時は、インターネットなんて使ってなかったからね。本当にエカチェリーナ2世のルビーがあったのか簡単に調べることができなかったね。
「青列車の秘密」では、「火の心」(炎のハート)と名付けられているルビー。
エカチェリーナ2世の肖像画 部分
ありましたね。398.72カラット(79.744g)のルビーはエカチェリーナ2世の王冠にあった。1676年まで、250年以上にわたって中国の皇帝の王冠を飾っていたらしいが、ロシアの外交官ニコライ・ミレスク(1636―1708)が買い取って、ロマノフクラウンジュエルとなった。
エカチェリーナ2世の王冠
この「火の心」をめぐって、娘婿、二人の侯爵の男たちが殺人の容疑者になり、このうち二人の男が一人の女性を巡って「青列車の秘密」は進んでいく。
BBCのドラマでは、宝石と言ったら登場するパポポラス親子は登場していない。そして何よりデレクとキャサリン(ミス・グレイ)の接点がなく、二人のロマンスが消えてしまっている。それはそうとして、このキャサリン。
アガサ・クリスティーは男心がわかってるなーと思うね。配役も良かったのかもしれない。原作では、没落した良家の子女ミス・グレイは、裕福なマダムの身の回りや話し相手をするコンパニオンを勤め、マダムが亡くなり驚くほどの遺産を相続することになった。
ドラマのはじめに登場する金髪の夫人とその子は、ミス・グレイの従妹と姪になる。彼女たちはミス・グレイを招待するつもりだ。ミス・マープルの住むセント・メアリ・ミードからロンドンにきたキャサリン・グレイ。
ホテルで大富豪のルーファス・ヴァン・アルディン親子から、娘ルス(ケッタリング夫人)の誕生日パーティーに招待を受けるポアロ。原作では青列車でミス・グレイと出会い、ルスとは面識はない。この誕生日パーティーが行われたホテルのレストランで、ポアロはティスティングがわからないミス・グレイをエスコートする。
ルース(ルス)の素行の悪い夫デレク(デレック)は、ルースを乱暴に扱い、賭博に熱中。貴族の称号がありながら浪費がかさんでいる様子。
ドラマではレストランに入ってきたデレク。階段で足を引きずるナイトン少佐。ミス・グレイは、青列車に乗る前に3人の重要人物と出会っている。
青列車でミス・グレイは、ポアロ、ミス・グレイの従姉とその夫、姪と歓談する。原作では青列車で出会うのは、ポアロとケッタリング夫人だけだった。
従姉たちが別なテーブルに着くと、ルスがミス・グレイのテーブルに腰を下ろし、話し始める。右億の赤いドレスが見えるだろうか。レストランで青切符を渡された女性(原作には登場しない)。この女性はミレーユ。青列車に乗り込んだデレクに煙草の火をつけてもらう。原作ではデレクの愛人の名だが、ここではルーファスの愛人。
通路を歩くボーイが、「ミセス・ケッタリング」と声をかけると、ミス・グレイは彼女を凝視した。原作にはうかがえない感情と表情。ルスは愛人ラ・ロッシュ伯爵と青列車内で逢引の予定。
展開があまりにも原作と違うから、もしかするとルスは殺されないんだろうかと心配した。だが、大丈夫だ。
女中のアダ・メイスンが原作どおりに途中下車。デレクはルスの愛人ラ・ロッシュ伯爵とカード賭博。午前7時ニースに到着。ルースとキャサリンは部屋を交換していたが、なぜか間違いなくルスが殺された。うーん、・・・残念なドラマだった。
犯人は原作といっしょ。ドラマには犯人にもならないラ・ロッシュ伯爵、ミレーユは登場しなくとも良かったのでは?パポポラス親子を登場させなかったことで、現代的なドラマに展開したのだろうけど、全然物足りない。見ていて殺人事件も省くのではと思うくらい、ぬるかったなー。