正直、クラナッハの作品は肖像画以外に関心がなかった。クラナッハ(子)の「女性の肖像画」に興味を持ち、それは肖像画の背景に人物の影まで描いているところが面白いと思ったからで、そのほかには目が向かない。
ピカソがそのクラナッハ(子)の「女性の肖像画」のリトグラフをつくり、やっぱりあれは誰が観ても面白い作品なんだと思った。
ピカソはクラナッハ(父)の「ヴィーナスと蜂蜜泥棒のクピド」もモデルにした。そしてこの「ダビデ(ダヴィデ)とバテシバ」。
どこにピカソは魅力を感じたのだろうか。
ダビデとバテシバ 1526
バテシバ(バト・シェバ)といえば、レンブラントも描いているけど、いろんな画家たちの主題のひとつでもある。
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レンブラント もう1枚のバテシバ
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レンブラント Rembrandt van Rijn
このクラナッハの「ダヴィデとバテシバ」に、僕はほとんど関心がないが、ひとつ気になるのは、ふつうは作品上、バテシバは衣服を身につけていない。裸身で描かれていることが多い。
あれだけヴィーナスを、形式に従わずにあっけらかんと裸身像を描きまくったクラナッハは、ここではなぜかドレスを着たままの姿を描いている。
ダビデとバテシバ 1949 ピカソ(Pablo Picasso) MoMA所蔵
右端の男は竪琴を弾くダヴィデ王を窺い、左端の男はバテシバの身づくろいなんぞに無関心で、右から二人目の赤い帽子の男は、物思いにふけっているのかバテシバの様子を王に伝えているのか。
ピカソは竪琴を手にしたダヴィデ王を描いた。しっかりとバテシバの身づくろいを盗み見している凄みがある形相で。廷臣たちはその様子をいぶかしげな顔つきで、王を窺っている。
姦淫と謀殺の象徴のダビデ王。
ダビデとバテシバ 1534 部分 全体像はクリックしてください。
クラナッハのもう一枚の「バテシバ」は、塔の男たちを見ているようだ。どちらにしても、クラナッハの作品があるから、ピカソのこのリトグラフが楽しめる。
だけどクラナッハのオリジナルの方は関心が向かない・・・。さて、クラナッハ(子)、そして父にもまだこの「バテシバ」の作品がある。
ダビデとバテシバ 1947 ピカソ(Pablo Picasso) MoMA所蔵
このクラナッハの作品も、なんらかのルターのプロパガンダなんだろうか。
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クラナッハ(子) Cranach the Younger 神話画 寓意画編
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クラナッハ(父)、クラナッハ(子) 不釣合いな恋人 Cranach I & Crana II
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ルーカス・クラナッハ(子)+(父) Lucas Cranach the Younger +Elder 宗教画と肖像画編■
ルーカス・クラナッハ(父)、ルーカス・クラナッハ(子) キリストと姦淫の女 Cranach I and Cranach II
sai記事
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ルーカス・クラナッハ(父) ヴィーナスとクピド(ヴィーナスとアモル) ピカソのリトグラフ
やっとsaiがアップしてくれたwa。クラナッハの記事リンクはこちら
XAI クラナッハ 三位一体と死んだ男